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Lag

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2022

audio, visual, installation

もりたあすか

w o r k s
c v

ある日、ウインナーソーセージの悲鳴を聞いた。それは、何気なくソーセージたちを電子レンジで加熱していたときのことである。マイクロ波によって熱せられるソーセージたちの、均一に規格化された皮が限界に達し、静寂なアパートの一室に断末魔が鳴り響いた。
本作は、食肉がミンチにされ、ケーシングされることで生まれたいわば「人工的に生み出された悲鳴」を、音と文字へ強制的に翻訳し、視覚と聴覚が交錯するオーディオビジュアルインスタレーションとして提示している。数百本にもおよぶウインナーソーセージを、同条件下で一尾ずつマイクロ波の中へ放り込み、破裂によって生まれる僅かな差異をあぶり出す。加熱されたソーセージが皮を裂く瞬間の破裂音はすべて記録され、音声解析によってかき集められた断片的な言語単位へと変換される。理解不能な暗号としてモニター上に現れるアルファベット群は、個体差がほとんどない工業製品のはずのウインナーたちが、あたかも独自の意識を獲得し、思いがけないメッセージを放っているかのような錯覚を引き起こさせるのである。

協力:飛谷 謙介

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